研究紹介【アンモニア作り方編】
- Taichi Mitsumoto
- 2021年3月7日
- 読了時間: 3分
先日、ワイヤレスイヤホンが車に轢かれヘッドホンを購入したミツモトです。
ワイヤレスイヤホンは片耳だけ使えなくなってしまうことがあるのが欠点ですね、、
1年くらい前にも片耳だけ紛失してしまい、「またか」と悲しい気持ちになりました(笑)
『2度あることは3度ある』ということで、しばらくは左右が分かれていないタイプを使用することにします!
今回は前回に引き続き、私の研究紹介をします。
私はアンモニアを合成する研究をしており、前回はアンモニアの利用のされ方を簡単にまとめました。今回はアンモニアの合成方法を紹介します。
① 空気からパンを作る方法
今から約100年前、アンモニアの合成方法が世界で初めて報告されました。
この方法はハーバーとボッシュが開発に携わったことから「ハーバー・ボッシュ法」と命名されました。高校化学で習いますが、皆さん聞いたことありますか?
別名で「空気からパンを作る方法」と呼ばれ、ノーベル化学賞を受賞しています。
空気中の窒素からアンモニアを作り、アンモニアから化学肥料を作り、その化学肥料で小麦を育て、パンを作っていたんですね!
では、ハーバー・ボッシュ法ではどのようにしてアンモニアを合成するのでしょうか。

上記のように、窒素ガスと水素ガスを原料としています。
鉄を主体とした触媒存在下、高圧高温の条件で反応させることでアンモニアが合成されるのです。
この方法は大きな問題点を抱えています。
それは原料である水素を生産する過程で、大量の二酸化炭素を排出することです。
二酸化炭素は地球温暖化の原因になるので、できるだけ排出したくありません。
そこで、二酸化炭素を排出しないアンモニア合成法の研究開発が盛んに行われてきました。
② 新ハーバーボッシュ法!?
最近(2019年)、私の研究室からNstureに論文が投稿されました。
↓詳しくはこちら
https://www.nature.com/articles/s41586-019-1134-2

内容は、上記の反応により常温常圧の条件下でアンモニア合成を達成したというものです。
モリブデン錯体を触媒として用いています。
ハーバー・ボッシュ法と比較してみてください。
注目すべきは水素イオン(H+:プロトン源)として水を使用していることです。
水は地球上に豊富に存在するので、水素よりも安価で環境に優しいです。
ここでSmI2(ヨウ化サマリウム)は電子を供給しています。
つまり還元剤として働いています。
水とヨウ化サマリウムを組み合わせることによって、水素等価体としているのです。

↑簡単に書き表すとこんな感じ!
現在私は、この反応系にて、触媒活性を上げる研究(触媒あたりのアンモニア生成量を向上させる研究)をしています。
今、論文執筆中です。
はじめての論文執筆なので上手く書けずに苦戦していますが、一歩一歩頑張っていきます!
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